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歯ぐきが下がるのは年齢のせい?歯周病が原因のケースが増えています
「最近、歯が長くなった気がする…」「鏡で見たら歯ぐきが下がってる?」そんな風に感じたことはありませんか?
実はその“歯ぐきの後退”、単なる加齢のせいだけではないかもしれません。
当院でも、「年齢のせいだから仕方ないと思っていたけど、実は歯周病だった」と気づかれる患者さんが増えています。
歯ぐきが下がること(歯肉退縮)は、確かに年齢による変化も影響しますが、もっとも大きな原因は「歯周病」です。
しかも歯周病は、痛みや自覚症状が少ないまま進行してしまう“サイレントディジーズ(静かなる病気)”。
「見た目が気になる」だけでなく、放置すると歯を支える骨が溶けて、歯を失うリスクにもつながるため注意が必要です。
今回は、「なぜ歯ぐきが下がるのか?」という疑問に答えながら、
歯周病との関係性や、進行を防ぐために今できることをわかりやすくお伝えしていきます。
歯ぐきが下がる=年齢のせい?いいえ、それだけではありません
年齢とともに歯ぐきが少しずつ痩せるのは、ある程度自然なことです。
しかし、「明らかに歯が長く見える」「歯の根元が露出してきた」と感じる場合は、加齢以外の原因を疑うべきです。
とくに注目すべきは、「慢性的な歯周病」の影響です。
歯周病は、歯と歯ぐきの境目にある「歯周ポケット」に細菌が入り込み、
炎症を引き起こすことで歯を支える骨(歯槽骨)が徐々に溶けていく病気です。
この骨の吸収に合わせて、歯ぐきも下がってしまうため、
「年のせいかな…」と放置しているうちに、知らないうちに歯周病が進行していることもあります。
こんな症状がある方は要注意です
- 歯と歯の間の隙間が広がってきた
- 冷たいものがしみる(知覚過敏)
- 歯ブラシで出血する
- 朝起きたときに口の中がネバつく
- 歯がグラついてきた気がする
これらの症状は、どれも歯ぐきが下がる初期サインまたは歯周病の兆候かもしれません。
放置すれば、さらに歯を支える骨が失われ、歯が抜ける原因にもなります。
歯ぐきが下がると何が問題なの?見た目だけじゃない実害も
歯ぐきが下がることで、以下のような問題が起こります。
- 歯の根元が露出し、むし歯や知覚過敏が起きやすくなる
- 食べかすが詰まりやすくなり、口臭の原因に
- 歯と歯の間の隙間が広がり、見た目に影響する
- 歯周病が進行し、最終的に歯を失うリスクが高まる
つまり、「見た目が気になる」以上に、「歯の健康寿命」に関わる問題なのです。
早期のケアで歯ぐきを守ろう|歯周病対策は今からでも間に合います
歯ぐきが下がってしまった場合でも、これ以上進行しないように食い止めることが可能です。
当院では、以下のようなアプローチで治療と予防を行っています。
- 歯周ポケットの清掃とプラーク除去(スケーリング・ルートプレーニング)
- 正しいブラッシング指導と生活習慣の見直し
- 必要に応じた歯周外科治療や再生療法の検討
- メンテナンスのための定期検診とクリーニング
「年齢のせい」と思わずに、歯ぐきの違和感や変化に気づいた時点で相談することが、歯を守る第一歩です。
よくあるご質問|歯ぐきが下がることへの不安を解消します
Q1:歯ぐきが下がったら、もう元に戻らないのですか?
残念ながら、一度下がってしまった歯ぐきは、自然に元の位置まで回復することはほとんどありません。
しかし、適切な歯周病治療とメンテナンスにより、それ以上の進行を止めることは可能です。
また、症状によっては「歯周形成外科」や「再生療法」といった専門的な処置で、見た目や機能の改善を図ることもできます。
Q2:歯ぐきが下がっていても、痛みがないのですが問題ないですか?
痛みがなくても、進行している歯周病のサインかもしれません。
歯周病は「静かに進行する病気」であり、気づかないうちに歯を支える骨が失われていることもあります。
見た目の変化や知覚過敏などがあれば、早めの検診をおすすめします。
Q3:歯ぐきが下がらないようにするには、どんな予防法がありますか?
まずは、歯周病の原因となるプラーク(細菌のかたまり)をしっかり除去することが重要です。
そのためには、以下のようなケアを意識しましょう。
自宅でできる歯ぐきケアのポイント
- やさしい力で磨く(強くこすらない)
- 歯ぐきの境目を意識してブラッシングする
- 歯間ブラシやフロスを毎日使用する
- 電動歯ブラシを使う場合は正しい使い方を確認する
- 喫煙習慣がある方は、禁煙を検討する(歯周病リスクが高まるため)
特に、硬い毛の歯ブラシでゴシゴシ磨いている方は、「歯肉退縮(歯ぐき下がり)」を加速させている可能性があります。
一度、歯科衛生士によるブラッシング指導を受けてみるのがおすすめです。
定期メンテナンスで歯ぐきの健康を守りましょう
歯ぐきの状態は、日々のセルフケアだけではコントロールしきれないこともあります。
そのため、歯科医院でのプロフェッショナルケアを取り入れることが大切です。
当院では、か強診(かかりつけ歯科医機能強化型診療所)の認定を受けており、
保険診療の範囲内で毎月の歯のクリーニング・歯周病予防が可能です。
また、患者様一人ひとりに合わせて、歯周ポケットの深さや出血の有無、プラークの付着状況などを定期的に記録・管理しています。
これにより、小さな変化にも早期に対応でき、歯ぐきの健康を長く維持できます。
まとめ|歯ぐきの後退は「年齢のせい」では済まされない時代です
歯ぐきが下がる現象は、確かに年齢とともに起きやすくなります。
しかし、その背後には「歯周病」という病気が潜んでいることが非常に多いのが実際です。
歯ぐきの後退に気づいたとき、それは「これから歯を守るために何をするべきか」を見直すチャンスかもしれません。
当院では、患者さまの状態に応じたオーダーメイドのケアと治療をご提案しています。
ご自身の歯ぐきの状態が気になる方、歯周病の不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
歯ぐきの健康を守ることは、歯の寿命を守ること。あなたの未来のために、今できることから始めましょう。

